一語一会 第3回


『自然から学ぶかりもの』

(Sさん)


私は現在、造園関係のお仕事をしています。

造園というのは庭造り中心のお仕事ですが、

基本的には庭の管理、植木の手入れ(剪定など)が主な仕事です。

今回はこの造園という仕事の中で学んだ、

自然を通して神様が私たちに伝えて下さっている事をお話致します。


植木の剪定をする中でもっとも厄介なのは、長年手入れされてこなかった植木です。

枝は伸びきって、樹形は完全に崩れ、そこから元の樹形に戻すのには数年かかります。


ほとんどの木は3年以上放置されたら樹形は乱れていきます。

そして綺麗な樹形に戻すまで3年以上かかるんです。


どこまで切り戻すかを決めて、将来性のある枝を選んで残し、

なおかつ、ブサイクにならないように剪定をするので、すごく頭を使います。


以前、樹齢300年以上の松の木の剪定をしたんですが、

もの凄く大きく、とても綺麗で感動しました。

300年も前の植木が形崩さず現代に残っているって、めちゃめちゃ凄いと思いませんか?

その間、色んな人たちがこの木に携わって、この樹形を保ち続けてきたんだと思います。


そんな歴史ある木も手入れされなければ枝は伸びきり、

たちまちに内側から枯れていきます。


私たち人間も同様に神様からのお手入れがあるから心を改めることができます。

神様のお手入れが無ければ間違った心遣いにも気付けずにたちまち心は曇っていきます。

また、私たち一人一人が丹精を込めて相手に働きかけることでその人の運命が変わる事もあります。


「かしもの・かりもの」は私たちのこの身体だけではなく、

環境や自然も神様からお借りしているものだとおしえて

自然の中には私たち人間の生き方そのものを伝えて下されているのかもしれません。